アメリカから日本はどう見える?海外では何が起こっている? New York Timesを主な情報源に、ファイナンシャル・プランナー中村芳子がパーソナルにコメントします。アメリカ滞在中の平日に更新。
2012年03月19日 (月) | 編集 |
Why Bilinguals Are Smarter

日本ではこれからの社会で「英語力」が必須として、英語熱が高まっているが、英語国のアメリカでは「外国語力」をどう見ているのだろう。17日付のNYTのコラムから
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2つ以上の言語を話すことは、グローバル化が進む社会では強力な能力だ。しかし最近、科学者たちはバイリンガルであることは、ただ外国語を話す人たちとコミュニケーションができる以上の力があるといい始めた。バイリンガルであるということが、人を賢くするというのだ。脳に効果を与えて、言語だけではなく、それ以外の認識能力を大きく伸ばすことができる。高齢になってからの認知症を防ぐ働きさえあるという。

このバイリンガリズムの視点は、20世紀における理解とは全く違う次元だ。研究者、教育者、政府関係者の間では長い間、第2言語を学ぶことは、子どもの教養や知性の発達の邪魔になると考えられていた。
外国語が「邪魔をする」いう意味では、間違いとはいえない。バイリンガルの脳の言語システムは、一報の言語しか使っていないときでも両方が働いているということが証明されている。このように、一定の状況の中で片方の脳がもう一方をさえぎっているのだ。しかし、この妨害作用が実はそう「悪くない」。これによって、脳は内的な葛藤を解決するようにとプレッシャーが加わり、脳がその認識力を強めるように作用する。

たとえば、バイリンガルはある種の課題に適応する力が、モノリンガル(1言語だけを話す人)より強いとされる。2004年のEllen Bialystok と Michelle Martin-Rheeの次のような研究がある。幼稚園児にコンピュータ上で、青い円と赤い四角形を容器に入れてもらう。容器には青い四角形と赤い円がついている。

最初の作業は「色が同じ容器に入れる」というもの。青い円を青い容器に、赤い四角を赤い容器に。どちらのグループもこれは簡単にできる。次に課題が「形が同じ容器に入れる」に変えられる。これはさっきより難しい。色の違う容器を選ばなくてはいけないからだ。コンフリクト(葛藤)が生まれる。2回目はバイリンガルグループの方が、早くできる。

このような多くの実験から、2言語を話す経験が、脳の「executive function」と呼ばれる機能を発達させるのではないかといわれている。これは、計画をしたり、問題を解決したり、それ以外の精神的な働きを要求するさまざまな仕事をするための、脳のシステムのことだ。この働きは、邪魔するものを無視して、課題に集中し、意識的にこちらからあちらへと注意を移すこと。運転中の動作を覚えることに似ている。

では、どうして、ふたつの言語システムが競合することが、認識する力が強くなるのだろう。最近まで、研究者はバイリンガルの有利な点は抑制する能力から来ているのではないか、としていた。つまり、ひとつの言語システムを抑制する働きを持つことで、不必要な要素を無視することができると考えたのだ。

しかし、抑制能力が必要のない作業でも、バイリンガルグループが、モノリンガルグループよりもよい成績を納めることがわかったことから、この説明は不適格とされるようになった。

バイリンガルとモノリンガルの違いの鍵は、もっと基本的なものかもしれない。たとえばまわりの環境を常にチェックする高い能力とか。「バイリンガルは、使う言葉を切り替えなくてはいけない状況にしょっちゅう直面する。父親に英語で話して、母親にスペイン語で話すという具合に」と説明する スペインのPompea Fabra 研究者のAlbert Costaだ。

「ちょうど車を運転しているときのように、自分の周りの状況の変化に、常に気を配っていなければならないのです」ドイツ語とイタリア語のバイリンガルとイタリア語のモノリンガルによる実験で、Costa氏は、バイリンガルの方がよい結果を出すけでなく、そのための脳の活動が少なくてすむ、ということを発見した。脳が、より効率的に働いたということだ。

バイリンガルの経験は、その脳に幼児から高齢になるまで影響を与え続ける(大人になってから外国語を学んで人にもあてはまる)。

2009年のイタリアの研究では、生まれたときから二ヶ国語を聞いて育った7ヶ月の赤ん坊と、一ヶ国語だけの赤ん坊が比較された。最初の事件は赤ん坊が、音を聞かせてから、スクリーンの一方に人形を見せる。どちらのグループも、音が聞こえるとスクリーンの一方を見るようになる。それから、音の後にスクリーンの反対側に人形を見せるようにする。バイリンガルグループの赤ん坊は、すぐに反応して反対側を見るようになるが、もう一方の赤ん坊の反応は遅い。

バイリンガルであることの特徴は、後年になっても現れる。44人の英語とスペイン語の高齢のバイリンガルを研究した結果、神経心理学者のTamar Gollan (University of California, San Diego)は、両方の言語に堪能な人ほど、老人性痴呆症やアルツハイマー症などの症状に抵抗力が強いことを発見した。語学力が高いほど発症が遅い傾向が見られた。

言葉に力があることを疑う人はいない。しかし、日々聞いて使っている言葉が、脳にこれほど深く影響を与えていたとは・・。  by Yudhijit Bhattacharjee (NYT staff writer at Science)

もっとなにかがあるのではないか、と私は思う。言語以上のものを常に切り変えなくてはいけない。たとえば、英語の「Blue」と日本語の「青」は同じ意味ではない。日本では国旗に寄せ書きをしたりするが、アメリカで国旗に何かを書くのは侮辱にあたる。アメリカでは年上の人をファーストネームで呼んでも問題ないが、日本ではご法度だ。

ものの見方、解釈の仕方、考え方がひとつではないという認識を自然に持つことも、バイリンガルの能力を伸ばす要素のひとつかもしれない。バイリンガルとまでいかなくても、子どものうちから外国語に触れるというのは、きっとよいことだ。とはいえ、わが子たちを見てて思うのは「バイリンガルになるのは本当に大変だ」ということ。同じ苦労をしたいとは思えない。
テーマ: 英語・英会話学習
ジャンル:学校・教育
コメント
この記事へのコメント
good
東京弁と名古屋弁と英語の使い分けをしている/併行して脳内に常駐していることにより、ロジカルに考える能力が鍛えられたという実感あり。 本記事に非常に共感
2014/03/22(Sat) 13:08 | URL  | 平民愚平 #-[ 編集]
東京弁、名古屋弁、英語を使い分け
東京弁、名古屋弁、英語を使い分け/脳内に混在により、少なくともロジカルな思考能力が補強されていると言う体感/体験を通じ、この記事について、強い共感を覚えた
2014/03/22(Sat) 14:07 | URL  | 平民愚平 #-[ 編集]
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